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2025/01/16
代表医師 吉岡鉱平先生
適応障害の患者数は増加してきており、日常に支障をきたしている方も少なくないです。また、コロナウイルス拡大によりオンライン診療が普及してきました。インターネット環境さえあればどこでも受診できるため、利便性が高いです。
そのため「オンライン診療を活用して適応障害の治療ができないか」と疑問に思っている方もいるでしょう。この記事では、オンライン診療のメリット・デメリット、適応障害はオンライン診療でも治療できるのかについて解説します。
目次
適応障害は、特定のストレスが原因で精神的および身体的に様々な症状が出現することが特徴です。主な症状として、不安感、抑うつ感、焦燥感、イライラ、感情失禁、集中力の低下、睡眠障害(不眠や過眠)などが挙げられます。
例えば、精神的な症状では、職場でのトラブルが原因の場合、仕事に関する活動で強い不安や抑うつ感が現れます。身体的な症状としては、頭痛、身体の痛み、胃腸の不調、倦怠感、動機や呼吸苦なども見られる場合があります。どのような症状が出現するかは、人のよって様々であり、不定愁訴と呼ばれます。
適応障害の特徴は、原因となるストレスから離れると症状が比較的速やかに軽減することが多い点です。例えば、仕事がストレスとなっている場合、休みの日は症状が出ずに元気に過ごせるとか、仕事以外のことを考えているときは楽しめるといった具合です。
オンライン診療は、インターネットを利用して医師と患者が遠隔で診療を行う医療サービスです。ビデオ通話を使って、診療、カウンセリング、処方などが可能です。対面診療と異なり、患者さんは自宅や職場などの場所を選ばずに受診できるため、身体的に移動が難しい人や忙しいビジネスパーソンも利用しやすいサービスになります。
オンライン診療は、医療機関へ直接訪問せずに診療を受けられるため、時間やコストの削減につながります。ただし、全ての疾患に適しているわけではなく、診療内容に制約がある点に注意が必要です。
オンライン診療は主に4つのメリットがあります。
それぞれ詳しく解説します。
オンライン診療の最大のメリットは、時間の制約が少ないことです。自宅や職場から受診できるため、病院やクリニックへの移動時間を節約できます。特に忙しい人にとって、通勤前や昼休み、仕事後などの隙間時間を活用して受診できる点は大きなメリットです。
また、診療を待つ時間も短縮され、予約時間に応じて柔軟に対応できるため、仕事や家庭のスケジュールに合わせやすいです。仕事や家事で忙しい方は、オンライン診療を利用すると効率的に受診できるでしょう。
初診時からオンライン診療を受け付けている医療機関も増加しています。そのような医療機関では初回からオンライン診療を受けることが可能です。初診での診療がオンラインで可能な場合、対面診療と同様に症状や既往歴などをヒアリングし、必要な検査や治療方針を決定します。その後、必要に応じて対面診療を受ける流れがスムーズに行えるため、特に忙しい人や遠方の患者にとって有効です。
注意点として、オンライン診療での初診が不可能な場合もあります。
上記のようなケースでは、初診からのオンライン診療が行えない可能性があります。
(一部参考:⽇本医学会連合オンライン診療の初診に関する提⾔)
オンライン診療は、医療機関に直接行く必要がないため、感染症のリスクを大幅に軽減できます。特に風邪やインフルエンザ、COVID-19などの感染症が流行している時期には、医療機関での感染リスクがありますが、オンライン診療ではそのリスクを最小限に抑えることが可能です。また、感染症の疑いがある患者も、自宅から診療を受けることで他の患者や医療従事者への感染リスクを減らすことができ、安全性が高まります。
オンライン診療では、自宅などのご自身のお好きな場所から受診が可能となるため、待合室で順番待ちをしたり、医療機関へ出向く必要がありません。そのため、医療機関を通院していることがバレてしまったり、不特定他者との接触を回避することができ、プライバシーが保たれます。メンタルの問題は、出来ればあまり人に知られたくないという人も多いと思いますので、そういった観点からもオンライン診療にはメリットがあると考えられます。
ここまでは、オンライン診療のメリットを見てきました。ここからは、オンライン診療のデメリットについてです。オンライン診療のデメリットは主に3つあります。
それぞれ具体的に解説します。
オンライン診療のデメリットとして、対面診療と比べて、必要な身体検査をその場で行うことが難しい点が挙げられます。例えば、心理検査、血液検査や画像検査などはオンラインでは不可能なため、検査結果に基づいた正確な診断が必要な場合は、対面診療が必要です。また、医師が身体的な状態を直接確認することができないため、触診や視診を必要とする疾患には対応が難しい場合があります。
オンライン診療では、対面診療に比べて、医師が診断に必要な情報を十分に得られないことがあります。例えば、患者の表情や体調を直接観察できないことから、微妙な身体的変化や表情の変化を捉えづらいです。
また、インターネットの通信環境に依存するため、通信状況が悪い場合には、適切な診療が行えないこともあります。これにより、診断精度に影響が出ることが懸念されます。
オンライン診療は、すべての疾患に対応できるわけではありません。特に、身体的な診察や検査が必要な疾患の場合、オンラインだけでの診療は難しいです。例えば、心臓病や内臓疾患、整形外科的な問題などは、画像検査や触診が必要となるため、オンライン診療だけで完結することはできません。
そのため、オンライン診療が適しているかどうかは、患者の症状や疾患の種類によって異なり、ご自身の状態がオンライン診療に適しているか事前に医療機関へ相談することが大切です。精神科医療においても、認知症やてんかんなどのように、確定診断に検査が必須の場合、対面診療が必要となります。
適応障害では、薬物治療は必ずしも必要ではなく、十分な休息に加え、原因となるストレス因に対する環境調整が効果的であり、オンライン診療での治療も可能です。オンライン診療では、休職に必要となる診断書の発行や、必要に応じてお薬や漢方薬のご処方、医師による患者さんが抱えるストレスへの対応方法へのアドバイス等が可能です。対面診療に比べて時間や場所に制約がないため、忙しい人でも定期的な治療が受けやすいです。
しかし、適応障害から、ほとんど毎日、一日のうちほとんどの時間で抑うつ症状が持続する状態、つまり、「うつ病」へ進行する場合は、オンラインだけでの診察が難しくなることもあります。その場合、オンライン診療を適切に活用しながら、必要に応じて対面診療と併用することが推奨されます。
日本では、2020年に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、オンライン診療の保険適用範囲が大幅に拡大されました。現在では、初診・再診のいずれでも保険が適用される場合があり、患者は対面診療と同様に、保険診療を受けることが可能です。ただし、保険適用の範囲は疾患や診療内容によって異なるため、事前に医療機関に確認することが重要です。
オンライン診療でも診断書を発行してもらうことが可能です。適応障害やうつ病などの精神疾患の場合、会社や学校への提出を求められたり、公的支援を得るために診断書が必要なシーンは多く、オンライン診療を通じて、医師が診断書を発行してくれることがあります。診断書の発行に関しては、医師がオンラインでの診療を基に十分な情報を得た上で判断することが重要です。診断書は、郵送や電子データでの提供が可能な場合もあり、対面診療と同様の対応が取られることが一般的です。ただし、特定の診断書に関しては、対面での診察が必要な場合もあります。
オンライン診療でも、医師の判断に基づき薬を処方してもらうことが可能です。しかし、オンライン診療で初診からの向精神薬の処方は厚生労働省の取り決めにより不可であり、抗不安薬や抗うつ薬が処方は再診以降で可能とされています。これらもオンライン診療を通じて受けることができます。薬の受け取り方法も自宅への郵送を選択できる場合があり、対面診療以上の利便性を享受できます。ただし、薬の種類や量、患者の状態によっては、対面診療を求められる場合もあるため、状況に応じて対応が異なります。
適応障害は、特定のストレスが原因で不安感や抑うつ感、睡眠障害などの精神的・身体的症状が現れる疾患です。ストレスから離れることで症状が軽減する場合が多い特徴があります。
オンライン診療は、忙しい人や遠方に住んでいる人には利便性が高く、感染リスクも抑えられるメリットがあります。一方で、身体検査ができない、疾患によっては難しいなどデメリットもあるため、症状に合わせた適切な診察方法の選択が大切です。
もし、適応障害の可能性を感じたら、早めに対処することでうつ病への進行を防ぐことが重要です。適応障害の症状でオンライン診療の受診を考えている方はBaseクリニック赤坂にご相談ください。
【参考文献】
監修医師
吉岡鉱平先生
Baseクリニック赤坂 院長
日本精神神経学会専門医、精神保健指定医、日本医師会認定産業医
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