メンタルと予防医療の専門クリニック|Baseクリニック赤坂のオンライン診療

メンタルと予防医療の専門クリニック|Baseクリニック赤坂のオンライン診療

Blog

ブログ

TOPページ > 【精神科医が解説】適応障害とうつ病の違いとは?診断基準や日常生活への影響についても説明!

2024/10/31

【精神科医が解説】適応障害とうつ病の違いとは?診断基準や日常生活への影響についても説明!

  • うつ病
  • 適応障害

代表医師 吉岡鉱平先生

現代人のメンタル不調として代表的な疾患に「適応障害」と「うつ病」があります。適応障害とうつ病は、その共通点として、どちらも抑うつ症状を呈する精神疾患として類似している部分が多く、一般的に混同されやすい病気と言えます。

クリニックを受診される患者様からも、このようなご質問を受けるケースが多いですが、実際にはいくつか違いもあります。具体的には、発症原因、症状、持続期間の3点です。これらの違いは、疾患の治療方法や治療期間、日常生活への影響などを考える際に知っておきたい内容です。

この記事では、適応障害とうつ病の違い、診断基準や日常生活への影響について解説します。同様の症状で悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

適応障害とは

適応障害は、ストレスや環境の変化に対して適応できず、精神的・身体的な不調を引き起こす病態です。通常、引っ越し、職場での変化、人間関係の問題などの具体的な出来事がきっかけで発症します。

つまり、適応障害には、何かしら、精神的に苦痛を感じる「きっかけとなる出来事」や「ストレスの原因」が必ず存在します。

適応障害の症状は、ストレスに対する反応として出現し、不安や抑うつ、集中力の低下、睡眠障害、身体の痛み、めまいや胃腸症状など、実に多彩な症状が見られます。しかし、ストレス源から離れたり、ストレス源自体が解除されると、比較的速やかに症状が軽減することが特徴です。

適応障害は、日常生活に影響を与えるものの、ストレス源が解消されると症状も改善するため、ストレスの原因を見極めることが肝心であり、早期の対処として環境調整が大切です。

環境調整とは、例えば、職場の人間関係によるストレスが適応障害の原因となっている場合、部署異動や転職などが挙げられます。しかし、具体的な環境調整がすぐに実行できない場合も多く、そのため、一旦休職し体調を整えつつ、復職に向けた職場側との面談の際に環境調整を進めていくのが一般的な方法と言えます。

うつ病とは

うつ病は、長期間にわたり続く抑うつ気分や、興味や喜びの喪失、自己評価の低下、睡眠障害、食欲不振などの症状を伴う精神疾患です。症状が慢性的であり、ストレスから離れても改善しないことが多いです。

ここでいう長期間というのは、「2週間以上、ほとんど毎日、一日中」が目安となります。

うつ病は、適応障害と異なり、特に明確な原因がなく発症する場合もあり、最初、適応障害と診断され、ストレスの原因だと考えていたことが解消されたにもかかわらず、症状が持続する場合にうつ病の可能性が生じます。

そのため、ひどい気分の落ち込み、興味や喜びの喪失といった症状が、2週間以上、ほとんど毎日、1日中続く場合は、日常生活に深刻な支障を来し始めている可能性があり、適切な治療が必要です。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病は、どちらも精神的なストレスに関連する疾患ですが、それぞれの発症の原因、症状、持続期間などに違いがあります。以下の表にまとめました。

適応障害うつ病
発症原因特定のストレス源が明確に存在する明確なストレス源がない場合もある
症状状況依存性であり、ストレス源から離れると症状が軽減する環境や状況が好転しても症状が変わらず続く
持続期間原因となるストレス解消で速やかに改善2週間以上、ほとんど毎日、一日中続く

「発症原因」「症状」「持続期間」の3点について具体的な違いを解説していきます。

発症原因の違い

適応障害は、明確なストレス要因がきっかけで発症します。例えば、仕事の変化、人間関係のトラブル、引っ越し、転職など環境や状況に適応できずに心身に負荷がかかることが原因となります。

一方、うつ病は明らかな外的ストレスがなくても発症する可能性があります。主に生物学的、遺伝的、環境的な要因が複雑に絡み合って発症するため、原因事態を特定することが不可能であることが多い疾患です。

症状の違い

適応障害の主な症状は、基本的にストレス反応です。つまり、ストレス要因に対する過度の不安や抑うつ気分、苛立ち、集中力低下など、比較的軽度の精神症状が中心になります。症状はストレス源に関連しており、原因が取り除かれると改善することが多いです。精神的な症状以外にも、睡眠障害、嘔気、疲労感、倦怠感、頭痛、胃腸症状、身体の痛みなどの身体的な不定愁訴が続くことから、自律神経失調症と診断される場合もあります。また、子供の場合、抑うつが目立たず、癇癪や不注意、素行不良などの症状を認めることもあり、発達障害などと誤診されてしまうこともあります。

一方、うつ病ではストレスの軽減や環境の変化があっても、症状がほとんど変わらないため、長期間持続しやすくなります。また、うつ病の症状は、気分の極端な落ち込みや、興味・喜びの喪失、希死念慮などが特徴的であり、日常の多くの場面で現れ、波が少ないのが特徴です。

持続期間の違い

適応障害の持続期間は、通常はストレス要因が発生してから3か月以内に症状が現れ、ストレスの原因が解決すると6か月以内に収まることが多いです。原因となるストレスが解消されると、比較的早く症状が改善する傾向にあります。治療とストレス管理が適切に行われると、さらに回復が早まることもあります。

一方、うつ病は、発症後に症状が長期間持続することが多く、少なくとも2週間以上持続し、その後数か月から数年にわたって続く場合もあります。適応障害と異なり、うつ病は慢性化しやすく、適切な治療を行っても再発や再燃のリスクが高いことが特徴です。

適応障害からうつ病に移行する?

適応障害からうつ病に移行する可能性はあります。適応障害は特定のストレス要因に対する一時的な反応であり、通常はストレスが軽減されると回復します。しかし、ストレス要因が解除されず慢性的に長期間続く場合、症状が増悪し、やがてうつ病に発展してしまうリスクがあります。

また、ストレスが慢性化することにより脳神経へも影響を及ぼすことで、うつ病の発症に至るリスクが高まります。適応障害の段階で適切な治療やサポートが行うことで、うつ病への移行を未然に防ぐことが大切です。

適応障害の診断基準

適応障害の診断では、以下のA~Bの5つにすべて当てはまる場合に診断されます。

適応障害の診断基準(DSM-5より一部改変)

しかしながら、実際の生活においては当てはまるか当てはまらないかの2択で診断することは難しいです。そのため、問診内容と診察によりストレスの原因、ストレスに対する反応、そのために生じている生活への支障などを確認していく必要があります。

うつ病の診断基準

うつ病は、アメリカ精神医学会の定める診断基準であるDSMもしくはWHOの定める診断基準であるICDに基づいて診断されます。具体的には、抑うつ気分または興味や喜びの喪失のどちらかが当てはまっており、かつ全体として5つ以上当てはまっている場合です。以下では、DSM-5の基準になっている症状について、以下の表で解説します。

うつ病の診断基準(DSM-5より一部改変)

これらの症状が、日常生活や社会生活、職業生活に著しい支障をきたしている場合に、うつ病と診断されます。長期間にわたって持続することがうつ病の特徴です。

適応障害とうつ病の日常生活への影響

適応障害とうつ病はどちらも日常生活に影響する疾患です。疾患に伴う、集中力や判断力の低下、情緒の乱れ、生活リズムの乱れは仕事でのパフォーマンスに繋がります。それぞれの疾患が日常生活にどのように影響するか解説します。

適応障害

適応障害は、特定のストレス源に対しての反応であるため、日常生活においては、そのストレスに関連する場面でのみ支障が出ることが多いです。例えば、仕事のストレスが原因の場合、仕事に行きたくない、仕事に行こうとすると体調が崩れる、仕事中に集中力が低下したり、不安感を抱いたりしますが、自宅に帰ると症状が軽減することがあります。そのため、ストレス源を避けることで一時的に症状が改善する場合もありますが、完全に回避できない場合には日常生活に影響を与え続けるため、早期の対処が必要です。

うつ病

うつ病は、日常生活全般にわたって深刻な影響を及ぼします。仕事や家庭、趣味に対する興味が失われ、どんな場面でもやる気が出ない、疲労感が強いといった症状が常に続きます。また、うつ病の症状は波が少なく、ほとんどの日常活動が困難になります。

家事や職場でのパフォーマンスが著しく低下するだけでなく、対人関係にも悪影響を及ぼし、社会的孤立を引き起こすことも少なくありません。そのため、うつ病の治療は日常生活の質の回復を目指して、長期的な支援が必要です。

症状が気になる場合はBaseクリニック赤坂へ

適応障害は、ストレスや環境の変化に適応できず、不安や抑うつ、集中力低下などの精神的・身体的な症状を引き起こす疾患です。ストレス源が明確であり、その解消によって症状が改善することが多いのが特徴です。

一方、うつ病は明確な原因がない場合もあり、長期間にわたり抑うつ気分や興味の喪失、疲労感などの症状が続きます。適応障害はストレス源が特定されると症状が軽減しやすいのに対し、うつ病は慢性化しやすく、日常生活や対人関係に深刻な影響を与えます。どちらの疾患も日常生活への影響が大きく、早期の治療が必要です。

初診から保険診療で受診可能なオンライン診療も行っております。

適応障害やうつ病の症状があり、気になっている方はBaseクリニック赤坂をご受診ください。

【監修医師】
吉岡鉱平
Baseクリニック赤坂 院長
日本精神神経学会専門医、精神保健指定医、日本医師会認定産業医

監修医師

吉岡鉱平先生

Baseクリニック赤坂 院長
日本精神神経学会専門医、精神保健指定医、日本医師会認定産業医

Related Articles

関連記事

関連記事は見つかりませんでした。